ベーシックな発注方法。株式市場における注文には、2通りの方法があります。一つは指値注文です。指値注文とは、売買したい値段を決めて注文する方法です。
例えば「500円で1,000株買い」と言った注文がそうです。この場合、株価が499円以下になれば必ず約定します。
株価が500円になっても注文の順番が優先されますので、約定しない場合もあるのです。501円以上ではもちろん約定しません。
売り注文の場合はこの逆になるのです。こうしてみると、発注はしたけど約定しないでせっかくの売買チャンスを見逃してしまう場合もあるのです。
もう一つは成行注文です。これは売買したい値段を決めないで注文する方法です。例えば「成行で1,000株買い」と言った注文がそうです。
このような注文を取引時間中に出すと、その瞬間に発注されている最も低い値段の売り注文にぶつけられます。成り行きでは、売買が瞬間に成立するのです。
同様に売り注文の場合はこの逆になるのです。今現在の株価が500円、最も安い売り注文が501円、最も高い買い注文が499円となっている時を例にしましょう。
ここで成行の買い注文を出すと、501円で買えます。逆に成行の売り注文を出すと、499円で売れます。正確には、発注した株数が注文の出ている株数よりも多ければ、さらに値段も越えてきます。
それでもこのように必ず約定しますので、すぐに売買を成立させたい時は安心感のある方法ですが、思いもよらぬ値段で約定する場合もあります。
特に一日の始めの寄値は昨日の終値と比べて極端に違う事は頻繁にありますので、日をまたぐ時は要注意です。一日の間でも前場と後場で大きく飛んでしまう事も度々ありますので、発注には難しい面があります。
結果使い分け方としては、安全面を重視して売買価格を固定したい時は指値注文をするべきです。一方、売買価格よりもとにかく「少々値が荒れても今すぐ約定しておきたい時は成行注文をするべきです。これをその時の状況に応じて使い分ける事がトレードの基本となるのです。
逆指値注文とは?
トレンドを逃さない発注方法で「○○円より上がったら買い」あるいは「○○円より下がったら売り」これが逆指値注文です。
わざわざこのような面倒な注文を出すメリットのある場合があるのです。チャートをテクニカルに分析した上で、売買タイミングを逃さない方法として定評があります。
・株価が上昇トレンドだと判断した時に買いたい場合
「○○円より上がったら買い」と発注します。決めた値段を上回ったら、その上昇トレンドに乗っかって買いたい時に有効な発注方法です。言わば、トレンドに素直に乗っかる方法です。
「ここまで上がったら、勢いで買いたい」そんな場面に行うものです。約定すればそのまま勢いに乗って一気に大儲けする事もあるのです。株価上昇のチャンスを拾う的確な方法とされています。利益を上げる買いでのエントリーの基本技です。
・株価が下降トレンドだと判断した時に売りたい場合
「○○円より下がったら売り」と発注します。決めた値段を下回ったら、その下降トレンドに乗っかって売りたい時に有効な発注方法です。
これも、トレンドに素直に乗っかる方法です。「ここまで下がったら、勢いで売りたい」そんな場面に行うものです。約定してロスカットした後、そのまま勢いに乗って一気に下降する事もあるのです。
株価下降のピンチで大損しない的確な方法とされています。ロスカットを小さく済ませるための基本技になります。
これをきっちりしないと、損失を抱えたまま塩漬けにもなりかねません。株で儲けるには欠かせないのがロスカットです。その基本的方法でこれが出来るか出来ないかで、損失額は大きく変わります。
別に損失では無く、一定の利益を確保するために発注する場合もあります。買った株が買値より上がっている時にこのような発注をすれば、ある程度の利益は確保されるのです。
株価の上昇によって含み益が出て喜んだのもつかの間、急落で一気に含み損になるのは、よくあるパターンです。ここでこの逆指値注文をしておけば、決まった利益は確定出来るのです。
IFD注文とは?
スタートからゴールまでをセットアップする注文方法でIFD注文とは、新規注文とその注文が成立した場合の決済注文を同時に行える注文方法です。
約定を前提とした決済注文が新規注文と一括して発注するものです。新規発注が約定すれば、その時点で決済発注がなされることになります。
利益確定、損切りする価格については、新規注文の前にしっかり決めておくべきものです。
しかしながら、日中仕事をしている多くの人々はそのタイミングを逃してしまいがちです。そういう時に威力を発揮するのがIFD注文です。これをしない場合、次のようなパターンがあります。
自宅で1,000 円で新規買い注文を出しておきました。帰宅して上がっていれば明日にでも利益確定するつもりでした。
約定はしているですが、日中に1,100円にまで上がってその後8,800円まで急落していました。こんな時、悔しいものです。
この場合、IFD注文をしておけば全然、結果が変わります。新規買い注文が約定した場合、1,090円で決済注文もしておくのです。
本来は8,800円に下がって200円分の含み損を抱えているはずなのです。それが含み損どころか、90円分の儲けが確定し手に入っていることになるのです。
IFD注文もあまり株式経験者であっても聞いた言葉でない人もいます。証券会社によって呼び名が違うからです。
往復注文、リバース注文、Uターン注文、返済予約注文などそれぞれに分かりやすい呼び名にしているようです。まだ一般には普及していない注文方法なので、対応していない証券会社もあります。
OCO注文とは?
利益も損失も限定される安心な発注方法でOCO注文とは、指値注文と逆指値注文を同時に発注する注文方法です。そしてどちらかの注文が約定した場合、約定しなかった方の注文は取り消されます。
損失をある程度に抑えながらも利益をそこそこ取っておきたい時に利用します。
例えば300株を5000円で買った株を、
300株5100円で売り指値注文と300株4900円での売り
の逆指値注文を同時に入れます。ここで思惑通りに株価が上昇して5100円になれば利益を確定出来ます。逆に株価が下降してしまっても4,900円でロスカットが出来るのです。
メリットとしては、利益を狙いながらもこのロスカットが許容範囲で確実に出来るところとされています。主に短い時間で動きの激しい時に、安全に利益を狙う場面には有効な手法です。
思わぬ暴落でも大きな損失にならずに済みますから、資金計画も立て安くなります。特に日中、仕事で株価のチェックが出来ない人には向いていると言えます。
0CO注文と聞くと株式経験者でもあまり馴染はありません。SBI証券など一部の証券会社ではOCO注文とよばれてますが、実際は証券各社で、この発注方法に独自の名称が付けられています。
カブドットコム証券では、W指値注文のことになります。マネックス証券では、ツイン指値注文と呼ばれています。これらは全く同じOCO注文のことなのです。
まだ対応していない証券会社もありますが、今では他にも多くの証券会社が取り入れるようになりました。
IFDOCO注文とは?
IFD注文+OCO注文=IFDOCO注文。IFDOCO注文とは、IFD注文とOCO注文とをドッキングさせたものです。略してIFO注文とも呼ばれています。
これは想像に難くはないでしょう。ただ、実際にやろうとすると複雑で頭が混乱しそうになりがちです。
慣れないと使いづらい発注方法ですが、カンを掴めば実に重宝する発注方法でもあります。
特殊注文の中でも複雑な注文方法で、買い注文が成立した場合、その株に対してOCO注文が出せるという注文方法です。もしも株が買えたらその後の利益確定注文と損切り注文とを同時に出来ることになります。
上手にこなせれば、理論上のメリットを十分享受出来るはずです。でも一見便利なようですが複雑ですので、その実、発注ミスにも繋がりかねません。
発注ミスは、ニュースでも取り上げられている程の大変な事態も想定されます。最も恐れるべき事ですので、取り扱いには慎重さが求められます。
慣れないうちはチャンスだと思って慌ててこの方法で発注せず、慎重に確認しながら行ってください。あまり使いこなしている人の話は聞いた事がありません。
まずはIFD注文に何の違和感も無く出来るレベルになってからです。そしてOCO注文も同様のレベルに達してから、初めてこの発注方法にチャレンジするのが得策でしょう。
取り扱っている証券会社もSBI証券、カブドットコム証券などの一部の証券会社に限られているようです。初中級者でしたら、こういう方法もあるのだと参考に留めておけば良いでしょう。
SOR注文とは?
最適市場を自動で選択してもらう方法。SOR注文のSORは、スマート・オーダー・ルーティングの略です。複数の市場に上場している銘柄の取引を発注した場合、最良の市場を自動的に判断して発注する注文方法です。
一般に証券取引所とジャパンネクストPTSの第1市場(J-Market)、第2市場(X-Market)で提示されている気配価格等を監視し、原則、最良価格を提示する市場を判定して、自動的に注文を執行します。
自分であらかじめ各市場で価格を比較検討して発注する必要がない仕組みになっているのです。
この判断方法は、買い注文であれば最も安い価格の市場、売り注文であれば最も高い価格の市場と言うシンプルなものではありません。実際に約定出来るのか、その可能性についても判断材料としています。
SOR発注は、発注時点において次のような条件下では出来ません。
優先市場に現在値がない場合、取引停止、特別気配、即金規制銘柄である場合、注文の時間にもよります。厳密には違いますが概ね、日中の取引時間中、つまり現在値のある時間帯でしか発注出来ません。
また、1注文の総額が5,000万円を超えるような特別大きな取引にも対応していません。このような場合は、各証券会社が優先している市場に発注されます。
SOR発注は、自動的に複雑な条件を判断するためにいろいろな制約がかかるわけです。また、ある程度大きな取引でなければ、市場による違いの影響は受けるものでもありません。
むしろ、証券会社が普通に優先している売買代金の大きな市場で発注しておくのが無難ではと思われます。
IOC注文とは?
取引回数や数量の大きい方には、これ! IOC注文とは、成行もしくは指値で発注した価格かそれよりも有利な価格で即座に一部あるいは全部を約定させます。
約定しなかった数量については、自動的にキャンセルされると言う注文方法です。約定しなかった数量は、いつまでもたっても板上に残ったままになる場合があります。
普通に成行や指値で発注したのに合わせてIOC注文をしておくと、板には残りの注文が残らないのです。ただし、取引時間中にしか発注出来ないと言う制限はかかっています。
IOC注文で発注すれば、すぐに約定したか失効したかがはっきりします。「今すぐこの価格での約定がしたい、もしも今、約定しない残り分があればすぐにキャンセルしておきたい」こういう素早い発注そして取り消しが自動で行われるのです。
相場は逐一動いています。時としてそれは雪崩のように値崩れする場合もあります。そんな急変時にも約定しなかった数量分を取消したり訂正をしたりしなくてすみます。
また、発注した瞬間に状況が急変する場合もあります。そんな時に「すぐ注文を取り消したい」と思っても時間が足らないこともあります。
IOC注文では、約定しなかった数量は自動的にキャンセルされるのです。
ですから、そんなリスクは避けられるのです。
一般の投資家には、馴染みのある発注方法ではありませんし、特に必要も感じられません。メリットのある方としては、非常に多くの数量で多くの回数の取引を行うベテラン投資家に限られてくるでしょう。その他、アルゴリズム取引などの機械的な取引をやっている投資家にもメリットはあります。
また、板に約定しなかった数量がたくさん残ってしまう方には、従来「見せ板ではないか」との疑いを持たれがちでした。
見せ板とは、約定させる気の無い数量を板に残しておいたり消したりするものです。相場の判断の妨げとなるため、不公正取引とされるものです。IOC注文ですと、そのような懸念を払しょくする事が出来るのです。
不成注文とは?
指値注文でありながら成行注文も。不成注文とは、一日の寄付前と日中の取引時間中は指値で注文を出したままですが、その間で約定しなかった場合に引けで成行注文になる発注方法です。
引けは午前の取引が終わる前引け、一日の取引が終わる前の大引けとがあります。午前中に出された不成注文は、前引けの時点で成行注文になります。
午前の取引が終了してから大引けまでに出された不成注文は、大引けの時点で成行注文になります。
この発注をすると、指値注文で有りがちな約定しないまま引けてしまうことが基本的にありません。
「基本は指値で思った値段で約定させたい、でもそれが出来なかったら少々思った値段でなくとも今日中には約定しておきたい、明日以降は大きく上昇するはず」と言う場合には効果的です。
一方で、引けでの成行注文は想像を超えた思わぬ高い値段で約定してしまう場合もあります。
結果、明日の寄りからは急に安く寄り付いたりもして悔しい思いもするかもしれません。これを高値づかみと言います。逆に売りの場合は、安値売りと言う事態にもなりかねません。
具体的な利用場面としては、明日の寄り付きが高そうな場合にこの方法で買いを注文すると有効です。寄り付きで利益を確保出来るからです。
売りの場合も同じことで明日の寄り付きが低そうな場合にこの方法ですと安売りを避けられるのです。
まれに前引けや大引けが無い場合があります。この場合だけは注文も成行に変更出来ません。名称から内容が分かりにくい発注方法なので、証券会社によってはもっと違った呼び方もされています。
それは不出来引け成行、指成注文などです。これなら想像もしやすいでしょう。SBI証券、カブドットコム証券などに限られた発注方法になります。